ムーディーズが米国債を格下げ

【為替と格付け】ムーディーズが米国債を格下げ!ドル円はどう動く?
2025年5月、格付け機関ムーディーズが米国の信用格付けを「Aaa(最上位)」から「Aa1」へ引き下げるという重大な発表を行いました。これは、米国が保っていた「最後のトリプルA」が失われたことを意味します。
この記事では、
- 今回のムーディーズの格下げがマーケットに与える影響
- 過去のフィッチ格下げ時のドル円の動き
- ムーディーズとフィッチのインパクトの違い
について、わかりやすく解説します。
ムーディーズの米国債格下げとは?
2025年5月16日、格付け会社ムーディーズは米国の長期信用格付けを「Aaa」から「Aa1」へと引き下げました。
理由として挙げられたのは、米国の財政赤字の持続性と政治的な機能不全(債務上限問題など)です。
これにより、S&P(2011年)、フィッチ(2023年)に続き、ムーディーズまでもが米国債を最上位から格下げしたことになります。
ドル円はどう動いた?
格下げ発表直後、ドル円は145.90円台から145.77円台へ一時下落しました。
しかし、米国債利回りの上昇を背景に、ドルが再び買い戻される展開も見られました。
「格下げ=ドル安」と単純にはならず、金利や経済指標など他の要因が強く影響する構造は変わっていません。
フィッチによる格下げ(2023年)と比較してみよう
フィッチは2023年8月に米国の格付けを「AAA」から「AA+」へと引き下げました。
発表直後こそ株式・為替市場で一時的な動揺が見られましたが、ドル円は143円台を維持し、その後は米経済の底堅さを背景に安定した推移となりました。
ポイント:格下げだけでは大きなトレンド転換にはつながらない
ムーディーズとフィッチ、どちらが影響力が強いのか?
比較項目 | ムーディーズ | フィッチ |
---|---|---|
市場での影響力 | 非常に高い(S&Pと並ぶビッグ2) | 相対的にやや低め |
投資制限への影響 | 年金・ファンドが参照するケース多い | 参照されるが補助的な扱いも多い |
投資家の心理的影響 | 「最後のAAA喪失」の象徴的インパクト | 比較的冷静な受け止めが多かった |
結論:ムーディーズの格下げはフィッチよりも市場インパクトが大きく、投資家心理にも直接的な影響を与える可能性が高い。
来週のドル円見通しは?
今後のドル円相場は、格付けよりも以下のような材料が左右します:
- 米国の経済指標(雇用統計など)
- FRBの金利政策
- 日本銀行の為替へのスタンス
- リスク回避の動き(地政学リスクや株式市場の不安)
ムーディーズの格下げが引き金となり、一時的にリスクオフの円買いが進む可能性もありますが、中長期的には米国の金利動向が引き続き重要な判断材料となるでしょう。
まとめ
- ムーディーズの格下げは市場心理に与える影響が大きく、短期的なドル円の変動要因となり得る
- 過去のフィッチ格下げ時は、ドル円相場への影響は限定的だった
- 格付けは“きっかけ”であり、最終的な相場の方向性は金利・経済指標・政策スタンスで決まる
今後もファンダメンタルズと市場のセンチメントを総合的に見極めながら、冷静な判断が求められます。